つわりも終焉を迎えつつあった2月の終わりごろ、病院近くの「穂高」というお蕎麦屋さんの「麦とろ定食」ならいただけることがわかって、検診のあと、そこでお昼ご飯でした。

座敷にあがって、母子手帳をぱらぱら眺めながら、麦とろろご飯とあたたかい汁蕎麦、そしてほうじ茶をゆっくりいただくと、早春の穏やかな光がゆらゆらとお座敷まで届きました。

今朝5時、その時の光を思い出したとき、突然泣けてきました。

妊娠がわかったのは元旦。
順一さんと実家のまわりを散歩をしていて、ドラッグストアで妊娠検査薬を買って、そのお店のトイレ(アホな私は、間違って男子トイレに入っていた)で簡易検査。そんなわけでわっこ先生、ドラッグストアの男子トイレでお腹にいらっしゃることが判明。

(ちなみにボックスから出るときは、誰もいないタイミングを見計らって、そそくさと)

そのあと順一さんと国道沿いのデニーズでお茶をして、てくてく歩いて家に帰って、両親と姉家族・妹家族、計9名に簡易検査の報告をしたら、みんなとっても喜んでくれた。
そして普通にシャンパンを飲もうとしていたら、義弟のたーちゃん「やめておいたら?」

「あ、やっぱり?」と思って一口いただいて終わりにしたのでした、ははは…。

あの日からまる8カ月。
妊娠期間中、一番に教えてもらったことは、人は誕生するにあたって、なんてたくさんの人の愛をいただくんだろう―ということでした。

「人」という字は、2本の線が支え合って立っていますが、その文字のとおり、人と人とが関わり優しさを交わし合って、成り立っているのだなぁ、と。

自分もそうやって誕生し、大人たちみんなに守られて育ち生かされてきたということを、改めて思いました。

妊婦の間、周りのみなさんが自然と温かく優しかったことが数々思い出されて、「やっぱり人の本性は愛なんだね」と、ひとしきり感謝が涙となってあふれたのでした。