お庭が全体にふっくらしてきた。
静かに眠っていたような庭がむくむくっと、動き始めの、このざわざわした感じ。
「落ち着いて暮らそう・・・」と、ひとりしずかに思うのでした。
実家にある雛人形のセットにはオルゴールがついていて、「あかりをつけましょ・・・」のメロディーを聴きながら、雛人形をじーっと見つめていた。
母と一緒に人形を飾るときの楽しかった記憶は、うっすらとあのオルゴールの音とともに。
まだまだ元気でいてくれると思っていた祖母が一週間ほど前に急逝し、私が無自覚にぼんやりと生きている間に、時間は等しく流れていることを思い知り。
「喜びは、深い悲しみを内包している」と、あの綺麗な目のおじさんが言っていた。
「今日、何が食べたい?」と聞かれて。