以下、『伊藤建築山田写真店』に寄せた文章を掲載いたします。
この家は屋久島の宮之浦という集落にあります。
旅でたどり着いた島に住み付いて、空き家を探していた木村がここを紹介された当時は、10年以上誰も住んでいなかった廃屋で、「ここに人が住めるの?」と周囲に首を傾げられながらトンカン直し、結局3年ほどお世話になったのです。
家賃は月5千円、水は川から引いてガスはなく、電気と電話は通っていました。
朝はニワトリの泣き声とともに目覚め、先ず囲炉裏で火を熾してお湯を沸かし、コーヒーを淹れます。
水が美味しいせいか、コーヒーがいつも以上に美味しく感じられるのでした。
夜は、広い庭にぽつんとあって何の囲いもない五右衛門風呂で、満点の星空となめらかなお湯に包まれました。
囲炉裏の燃えさかる火を見つめながら、友人達と語らったり黙ったり。