バンクーバー在住の有子さんから、
「障害のある子供さんのことを、giftedとか、treasuredって言うのよー」と教えてもらって、ちょうど山元加津子さんのウェブサイトで読んだ、とても好きなお話とぴったりきたので、下記に掲載いたします。
ご興味のある方はぜひ。


もう何年も前のこと、NHKの人体Ⅲを見ていて、とても興味深い放送の内容がありました。
その放送はこんなふうでした。
アフリカでは、鎌状赤血球貧血症という病気を持っている人がたくさん見られて、その病気は、遺伝子によるものだということがわかっているのだそうです。ところで、その遺伝子を持っている人の兄弟を調べると、4人に一人が、貧血症を発症して、呼吸困難や発熱や痛みなどの発作がある障害を持ち、そのうちの二人は、鎌状の赤血球の遺伝子を持っているけれど、障害はなく、そして残りの一人は、その遺伝子を持たないのだそうです。鎌状の赤血球の遺伝子を持つ人がたくさんいる一帯でマラリアが流行ったときに、みんながばたばた倒れて命を落としていったけれど、鎌状の赤血球を持った人たちが、その病気にかからずに、その一帯のひとたちが絶滅することなくすんだというのです。不思議なことに、マラリアが流行る地域で、鎌状赤血球の遺伝子をもつ人が多く見つかっているのだそうなのです。
NHKの放送では、マラリアに強い、鎌状の血液の遺伝子を持った人が存在するときには、鎌状血液で障害を持っている人も必ず存在するということになる、言い換えれば、もし、鎌状血液を持ち、身体に障害を持っている人がいなかったら、他の二人も存在せず、そのあたりの人たちはマラリアによって、絶滅したのではないか、だからその障害を持った人はとても必要な人だったのだというのです。
それからこんなお話もありました。エイズの男の人何人かと恋人同士だったにもかかわらず、発病しないという男の方が紹介されていました。同じように、エイズにかかるような行動があったとしても、かからない人たちがいて、その人たちは、7百年ほど前に流行ったペストにかかった人の祖先だというのです。
ある病気がたくさん流行したときに、人類が絶滅するということをさけるためには、7百年という年月は必要だったろうということでした。ペストにかかった人たちの子孫が、そんなふうに、今存在しているのは、まるで、誰かが、7百年後にエイズが流行ることをみとおしていたようだと、NHKでは結んでいました。そして、今、現代の人類がたくさんの病気をくぐりぬけて、存在しているのは、過去の人たちの苦しみが生み出したものの上だと放送されていました。それは言い換えればこういうことだと思います。
今私たちが明日に向かってにっこり笑って、歩き続けていけるのは、過去に病気や障害を持って、苦しい思いをされた方がおられるからだ、そして、今、病気や障害を持っておられる方はきっと、未来の私たちの子供たちを救ってくれているのだ・・
テレビの中で、作家で、遺伝子科学の科学者でもある柳澤桂子さんが、こうお話しておられました。
ある割合で、障害をもつ人たちや病気の人たちが生まれるわけですが、その人たちは、自分の代わりに障害や病気を受けとってくれたのです。ですから、みんなでそうした人たちに、一生懸命尽くさなくてはならないと思います」
もしかしたら、どんな病気も、それから障害も、“大きな力”が、きっといつかのいい日のために、生み出したものなのかもしれない・・・病気とか障害というものは、宇宙や地球や、人類の困難を助けるために、あるのかなあと思ったりもしたのです。